信託終了時の不動産の売却について

最近の依頼者様のニーズについて、書いてみようと思います。
信託終了時に不動産がある場合に、それを売却して金銭に代えて、帰属権利者に承継したいというものです。

(帰属権利者)
信託法
第百八十三条 信託行為の定めにより帰属権利者となるべき者として指定された者は、当然に残余財産の給付をすべき債務に係る債権を取得する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

原則からいうと、信託終了時の財産は、帰属権利者に帰属するのですが、信託行為に別段の定めを設け、清算受託者が不動産を売却して金銭を帰属権利者に帰属させる旨の条文を設けたら、受託者の名前で不動産を売却して、金銭に代えて帰属権利者に承継させることも可能です。

もちろん、その旨を信託原簿に登記することは必要だと思います。

こうすることで、信託財産引継ぎを原因とするいわゆる相続登記に近いものを省略することができるので、依頼者様にとってはメリットが出てきます。

信託事例がまだ少なく、判例もない中、自分の頭で可能と考えられる、この辺の細かいニーズを実現する契約書を作成していきたいと常に考えております。
お気軽にご相談くださいませ。

遺言ではできない2世代先まで指定する資産承継対策

 

上の家系図で、長男家族には子供がおらず、現在長男と同居中。最終的には家の財産(不動産)は長女の子供(孫)へ引き継がせたいと、父は思っています。

遺言で、長男に財産を相続させることを望んだ場合、父が亡くなったら、長男が相続することになりますが、その後、長男が亡くなった場合、長男の嫁が3/4相続することになります。そして、長男の嫁が亡くなったら、長男の嫁の一家に引き継がれてしまいます。

これを回避させるために、例えば、委託者兼第1受益者を父として、受託者を孫とする信託契約を締結し、第2受益者を長男、第3受益者を長男の嫁、第4受益者を孫とします。そうすることで、面倒をかけてきた長男及び長男の嫁が亡くなるときまではその不動産に居住してもらって、長男夫婦が両方亡くなった時に、不動産を最終的に孫名義に変えることが可能になります。

このことは、遺言ではできず、家族信託でしかできないことですので、活用できる機会が多数存在するかと思います。

ご相談お待ちしております。

 

 

 

共有不動産の名義集約して管理処分を簡単に

★共有の古アパートを今後改修・建替え・売却を思案中。

★現在 長男が管理中。しかし、母が最近物忘れが激しくなってきた。

こんなケースの時、母が万が一意思判断能力が無くなったら、大規模修繕、建替え、売却もままならなくなります。将来、長男、長女の子供達が遺産争いになったとしたら、共有者増加で意思統一もすんなりできなくなります。そうなると、管理も売却もしにくくなってしまいます。

 

そこで上記のように、委託者兼受益者を母、長男、長女として、長男と長女で作った一般社団法人を受託者とする信託契約を締結します。

これにより、母の意識低下があっても、処分可能になりますし、不動産の共有相続による共有者間の管理処分を巡るトラブル回避でき、不動産の管理処分は信頼できるものに委託・集約し、受益権を取得することになります。

現在、既に共有状態で、将来処分が出来なくなるリスクがあるような方、ご相談お待ちしております。

 

賃貸不動産を家族信託して円滑に管理する対策

【登場人物】 父(85歳)長男(55歳)

【内容】

父は退職後、先祖代々の土地にアパートを建てて自分で賃貸経営をしていました。

父は高齢になり足腰が弱くなったので介護付きマンションに住むことになりました。

そので、賃貸の管理は長男がすることとなりました。

しかし、賃借人との契約、仲介業者とのやり取り、修繕・工事、税金の支払い等なにをやろうと思っても父の承諾が必要となり、毎回父に承諾を貰いに行かなくてはなりません。

長男が管理人として権限をもって管理することはできないでしょうか。

 

【解決方法】

父を受益者として父から長男に賃貸不動産を信託します。

すると、不動産の名義人は長男になるので、長男は毎回父の承諾を得ることなく、管理運営することができるようになります。

また、賃料は受益者である父のものになるので、父はそこから介護付きマンションの費用も払うことができます。

家族信託は所有権の名義人が変わるので、名義人にしかできないことも円滑にすることができます。

ご相談お待ちしております。

高齢者の相続対策としての土地活用

 

 

古家を取り壊して、相続税対策ち称してマンションを建築、計画から竣工までの期間1年。請負契約締結後、測量、建物取り壊し、建築。資金調達は銀行からの借入金を予定。

竣工までに母が万が一意思判断能力が無くなったら、どうなるんでしょう??

引渡し?借り入れは?賃貸借契約は?

全て、出来なくなります。

そこで、請負契約前に母を委託者兼受益者として、受託者を孫として信託契約を締結し、不動産移転登記をして、各種契約を受託者が行うと引渡しや借入のリスクが回避できる可能性があります。もちろん、事前に金融機関や建設業者との相談は必要ですが。

もし、母が亡くなった場合でも、長男が相続によりマンション用地等を取得したものとして相続税を課税し、小規模宅地等の減額特例の適用も可能となります。