家族信託・遺言アンケート② 司法書士京都

当事務所では、品質向上のため、遺言・家族信託アンケートを実施しております。
当事務所が、お客様のニーズにあったサービスが出来ているか、見直すためには、必要な作業と考えております。

家族信託を組成させて頂きましたお客様よりアンケートに回答して頂きましたので、ご紹介させて頂きます。

お母様の所有する大型の収益物件の建替えを直近に控えているけれども、具体的にはまだ、決まっていないけれど、お母様の意思が減退していったら、建替えが出来なくなるんじゃないかという不安であるご家族からのご依頼でした。建物を壊す判断も当然所有者がしなければなりません。現実的な管理も既に息子さんに全部任せているという案件でしたし、信託組成をする際にも、他の兄弟ともしっかり話し合っての組成でしたので、このことで争いが生じることは考えにくい事案でした。

この案件は、ご依頼のご家族がNHKのクローズアップ現代での家族信託の特集番組をご覧になられて、そのご家族の顧問の税理士から紹介を受けた司法書士に相談したところ、よく分かっていない感じだったので、当事務所に来られたケースでした。

そして、何より、嬉しかったのは、最後に信託口座を開設して、お別れする際に、建物建替えの時の登記もお願いしますねって言われたことでした。

インターネットをはじめ、文献によっては、家族信託に関する間違った情報も入り乱れております。

当事務所でも5年程前の取組み当初では文献を信じるしかなかった部分がございましたが、ある程度勉強を重ねた結果、かなり書いてあることが間違っているというか偏った文献もあるということに気付けるようになりました。その実務の中で培った当事務所として、最良の信託組成の提案が出来るように今後も精進していく所存でございます。

インターネットで依頼する司法書士を探しているケースの場合、取組み経験数を参考になさるのも一つかとも思います。

我々も、こういうニーズを喚起し、手続きをさせて頂き、お客様の不安を取り除くことが出来、お客様に喜んでもらえたら、何より嬉しい話です。
だからこそ、この制度をもっともっとたくさんの方に知ってほしい。
だからこそ、小さな事かもしれませんが、こういうサイトで情報を更新することで、目に触れる可能性を増やす努力をしております。

皆様の周りで、将来の資産承継のことやご両親が認知症になったらどうしようと悩んでいらっしゃる方はおられませんか???

もしいらっしゃったら、是非一度、当事務所にお繋ぎ下さい。
不安を安心に変えることが出来ると思います。

受託者に専門家がなることは出来ませんが・・・・

弁護士や司法書士の専門家が財産管理をするときに、財産管理契約をするケースはあろうかと思います。

そういった専門家を受託者とする信託契約はできるでしょうか?
答えは出来ません。なぜなら、信託業法では「信託の引き受けを業として行う者は、免許を受けた信託会社でなければならない」旨の定めがあるからです。報酬がなければよいのかという議論もあるようですが、法律専門職としての司法書士業をしているものが無報酬ですることにはやはり抵抗がございます。

信託口座の管理については、現実的には、受託者が定める第三者への委託ができる定めで持って、事務取扱上、受託者口座の代理人手続きをすることで実際は、弁護士や司法書士が管理をすることも可能でしょうし、信託監督人や受益者代理人として専門家が関与することもあろうかと思います。

受託者借入について

今回、近い将来に建替えを検討されておられ、借入を視野に入れての信託組成案件なのですが、将来的な受託者借入については、事例が非常に少ないとの話を民事信託対応の銀行さんからお聞きしました。

しかも、税務当局で、受託者が借り入れたものが、委託者の債務となり相続対策になるのかは判断できないことを留意点として指摘されました。

受託者での借入で対応できる案件は、具体的な建築計画ができていて、融資審査と並行して信託契約書案文のチェックを行える案件である必要があることから、具体的な案件でない場合は、実際に借入する際に、信託契約書の変更を強いられるケースもあるようですので、注意が必要です。

後継受託者の定めについて

第2受託者の定めは信託口座開設に必須なのですが、今回口座開設の為、銀行による契約書案のリーガルチェックでご指摘があったのは、後継受託者の指定方法についてでした。

『第二受託者が就任できない場合、または第二受託者の任務が終了した場合、現に受益権を有する受益者(以下、「現任受益者」という。)又は現任受益者の成年後見人・保佐人・補助人・任意後見人(以下、「成年後見人等」という。)が後継受託者を指定し、前任の受託者の地位を承継させるものとする。』という文言では足りず、『受益者が速やかに書面により選任し、その書面は公証人の認証を得るものとする』といった内容まで必要になるとのことでした。

委託者がご高齢の為、実際に想定上あまりないような、第二受託者の定めのケースである今回のようなケースでも、後継受託者の指定方法を明確にすることが信託口座を開設する銀行にとっては大事なことなんだということが分かりました。

信託口座開設をしながら思うこと。

現在、将来受託者借り入れも視野に入れておられる方の信託組成のお手伝いをさせて頂いております。

その為、信託口座開設の為、奔走しております。

信託終了の規定は明確か。

親族間でトラブルになる可能性はないか。(遺留分侵害はないか)

第2受託者の規定があるか。

注意すべき点は沢山ございます。
いろいろな参考図書を見ていても、統一的な文案ではないようです。

正直、将来問題になるであろう書き方の文献もございます。

そういう意味で、しっかり研鑽を積んでいかないと将来大変なことになるということを肝に銘じつつ、業務に当たらないとできない仕事です。

ここ数年、日々信託業務の勉強をしてきていても、まだまだ至らぬ点が出てくる業務でございます。

また、法改正もございます。
今度創設される配偶者居住権の制度により、後妻の居住権を確保した上で、後妻死亡後に実の子供に承継させるといういわゆる受益者連続型信託が実現できるのでないかと思います。

できうる方法の中で、一番依頼者様に合った方法を提案することが、これからの専門家の一番大事になってくるところだと思います。

潜在的問題を抱えている方へ

先月NHKのクローズアップ現代+で家族信託が紹介されますと、やはり、放映後2~3日は、当サイト閲覧数が通常時の5倍近く増えます。
沢山の方にご覧頂き、検討してもらっているものと思いました。それだけ、こういった家族の高齢化に伴う潜在的問題が沢山の方の中に、潜んでいるものと思います。最近でこそ、家族信託・民事信託という言葉も耳にするようになりましたが、もっとどんどんテレビ・ラジオ・新聞で潜在的問題を抱える皆様に知ってもらえたら嬉しく思います。

その中で、お会いさせて頂き、委任契約を結ばせていただきましたお客様とお話しておりますと、テレビを見て、まさに、ウチに該当するということで、顧問の税理士さんに相談され、その税理士さんが懇意にされている司法書士を紹介してもらったそうですが、やはり、頼りなくて、当事務所にご相談に来られたということでした。

当方も、情報収集の為、各地に家族信託に関する研修を受講し、色々な文献も購読しているところですが、それぞれ言っていることが違ったり、明らかに間違っているものさえあるように思います。弁護士だからと言って、司法書士だからと言って、全てが全ての分野での専門家ではないのです。

当事務所では、この分野の専門家として、研鑽を続けております。
だからこそ、弁護士からこの分野におけるプロとして依頼を受けたり、他の司法書士からご質問を頂き回答させて頂いたりしているのです。

一人でも多くの家族の高齢化に伴う潜在的問題を抱える方の不安を安心に変えるお手伝いをしていきたく存じます。

税務上不利な扱いを避ける設計が必要

1つの賃貸不動産だけを信託財産とした場合、その不動産に関する不動産所得の損失の金額が生じたとしても、この損失は、租税特別措置法41条の4の2の規定の適用により、生じなかったものとみなされるため、所得税法における損益通算や純損失の繰越控除などの適用が受けられなくなります。

所有する全ての賃貸不動産を1つの信託契約の中での信託財産にすると、その中の賃貸不動産について、不動産所得の損失の金額が生じたとしても、他の賃貸不動産の利益の金額と相殺が可能になります。

このように、税務上、不利な扱いを受けないように、信託を組成することも非常に重要なので、賃貸不動産を信託する際には、税理士さんのアドバイスも受けておかれた方がよろしいかと思います。

NHKのクローズアップ現代+で家族信託が特集されます!

https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4270/index.html

本日夜22時よりNHKの情報番組『クローズアップ現代+』にて、家族信託が紹介される予定です。

是非、ご存知ない方にご覧頂きたく存じます。

≪番組紹介文≫
親が亡くなったり、認知症になって判断能力が低下したりして、親の口座から必要なお金を引き出せなくなる人が続出しています。こうした事態に陥らないために、どんな対策をしておけばいいのか?親に判断能力があるうちに家族で契約を結び、預金などの名義をあらかじめ書き換えておく「家族信託」という仕組みや、親が認知症になった後でも活用できる「成年後見制度」について詳しく解説。そのメリットや注意点などをわかりやすく紹介します。

家族信託していても対処できないこと

当事務所でも、認知症対策に、家族信託を推奨しております。

但し、これは、財産の管理運用についてでございます。

例えば、家族信託契約を締結して、息子が受託者として、財産を管理していたとしても、委託者である親が認知症になり、介護施設への入所契約の主体となれないときや、借金まみれの兄弟が亡くなった際の相続放棄手続きなどをする場合には、後見人を選任して対応せざるを得ない場合もございます。

なので、結構間違って伝わっていることが多いように見受けられるのですが、信託制度は、後見制度に代わる制度ではございません。

正しく使える専門家にご相談下さいませ。

受託者借入について

受託者は、借入金を信託財産に属する財産で履行する責任を負いますが、それだけではその責任を負えないときは、自らの固有財産を責任財産として弁済に充てなければなりません。

信託法は、受託者に信託財産責任負担債務について無限責任を負わせることを一般原則にしております。

この一般原則に対し、信託法21条2項は例外規定を設けております。例外規定に掲げる権利に係る債務について、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負います。
⓵受益債権
⓶限定責任信託の特例における信託債権
⓷信託法の規定により信託財産に属する財産をもってその履行の責任を負うものとされる場合における信託債権
⓸信託債権を有する者との間で信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う旨の合意がある場合における信託債権

金融機関の信託口座について

受託者は、信託財産に属する金銭や信託事務を処理するために支出する金銭を内訳明細表に記載し、収支計算書を作成します。

金銭は、その計算を明らかにする方法によって分別管理を義務付けられております。

金融機関にて信託口座を作成できれば、分別管理もでき、倒産防止機能も発揮できるわけですが、信託口座は、信託の効力発生要件ではありませんし、金融機関の対応が遅れているのが現状ですし、対応できても3000万円以上などの要件があるので、別の受託者名義の普通口座にて管理をせざるを得ない場合もあると思います。

そのことで、もし、受託者名義の口座が受託者死亡により相続が発生したときに、受託者固有の財産として、受託者の相続人により分割されるということになれば大変なことになります。

それを信託契約公正証書により、信託財産であるとして、次の受託者に引き継ぐことが出来れば問題ないのですが、現実、その局面に立ち会っていないですし、金融機関の対応が読めないので、そのあたりは慎重に事を図らなければならない点だと思います。

家族信託の契約書が公正証書である必要性

信託契約は締結により、その効力が生じますので、公正証書によることは信託の効力発生条件ではございません。

しかし、いざ、金融機関にて信託口座を開設したり、その口座にて借入を行うような場合は、必ず公正証書でないと金融機関が扱ってくれないということになります。

しかも、その内容を口座開設の前に打ち合わせて信託契約書案を作っていく必要がございますので、注意が必要です。

また、委託者と受託者の意思が第三者である公証人の立会いのもと作成されるので、後々、その時、委託者に意思判断能力が無かっただとか他の相続人に言われる可能性は低くなりますし、税務署に対して、しっかりしたもであることを主張しやすいかもしれません。

不動産だけを信託財産とする場合で、家族みんなが了解しているのであれば、公正証書にせずとも、登記に反映されることになりますので、私文書にて契約をすることで、公正証書作成に関する費用を浮かすことも可能です。

その日付に存在したという意味で、確定日付だけ公証人役場でとるのも良いかもしれません。