借地に関する信託

借地上の建物を信託する際、当然借地権の譲渡も伴うことになりますので、

借地権譲渡について地主の承諾を得る必要がございますので、注意が必要です。

建物に関して信託による所有権移転登記自体は、借地の地主の承諾がなくてもできますが、実体法上、建物譲渡は、借地権の無断譲渡の証拠ともなりえてしまうので、必ず、承諾を得てから登記名義の変更をされますことをお勧めします。

借地借家法(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)

第十九条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。

 裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。

 第一項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。

 前項の申立ては、第一項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失う。

 第三項の裁判があった後は、第一項又は第三項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができない。

 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第一項又は第三項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

 前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第三項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。

停止条件付の家族信託

即時発効しない信託契約を望まれる方は、結構いらっしゃいます。

例えば、委託者の認知症が進んで、保佐相当との医師の診断書が提出されることを効力発生条件とするなどの信託契約です。

この契約自体は、もちろん有効だと考えておりますが、実務上は、当事務所では、そのような契約書の作成は受け付けておりません。

 

なぜか??

どの時点で発効するのか分からない状態での契約は法的安定性に欠くでしょうし、条件成就の時には、委託者の判断能力の減退が進んでいるので、その時点での信託による名義変更の意思確認ができないことがその理由です。

 

逆に、委託者は元気であるから、信託契約は結ぶけれども、今まで通り、委託者で管理をしていきたいというご相談もたまにあります。不動産の名義も変えずに登記留保という手法も、家族信託が流行りだした頃、推奨する専門家がいるということは聞き及んでおりましたが、やはり、法的安定性を欠く結果になりかねないので、当事務所では、即時の名義変更を推奨しております。不動産だけでなく、金銭であれば、信託口口座の開設をせず、今まで通り管理をするということも契約と齟齬することになりますので、お勧めしておりません。

 

信じて託す信託制度を仮にしておく的な中途半端な運用は避けるべきです。

上記のような運用は、信託法34条2項違反ということになりそうです。

 

 

信託法(分別管理義務)
第三十四条 受託者は、信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に定める方法により、分別して管理しなければならない。ただし、分別して管理する方法について、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
一 第十四条の信託の登記又は登録をすることができる財産(第三号に掲げるものを除く。) 当該信託の登記又は登録
二 第十四条の信託の登記又は登録をすることができない財産(次号に掲げるものを除く。) 次のイ又はロに掲げる財産の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法
イ 動産(金銭を除く。) 信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを外形上区別することができる状態で保管する方法
ロ 金銭その他のイに掲げる財産以外の財産 その計算を明らかにする方法
三 法務省令で定める財産 当該財産を適切に分別して管理する方法として法務省令で定めるもの
2 前項ただし書の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる財産について第十四条の信託の登記又は登録をする義務は、これを免除することができない。

農地の信託

先日、ご依頼を受けました件で、信託されたいとする不動産の一部の地目が畑となっておりました。

現況が畑であれば、信託できません。

なぜなら、農地法3条(農地のままで譲渡)の許可はできないことになっているからです。

ただし、農地法5条の転用許可であれば、問題ありません。

今回の事案では、現況は、農地ではなくなっていたので、地目変更登記だけしてもらうことになりました。

農地法(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)

第三条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。

第四十六条第一項又は第四十七条の規定によつて所有権が移転される場合

 削除

 第三十七条から第四十条までの規定によつて農地中間管理権(農地中間管理事業の推進に関する法律第二条第五項に規定する農地中間管理権をいう。以下同じ。)が設定される場合

 第四十一条の規定によつて同条第一項に規定する利用権が設定される場合

 これらの権利を取得する者が国又は都道府県である場合

 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)、農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)、集落地域整備法(昭和六十二年法律第六十三号)又は市民農園整備促進法(平成二年法律第四十四号)による交換分合によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合

農業経営基盤強化促進法第十九条の規定による公告があつた農用地利用集積計画の定めるところによつて同法第四条第三項第一号の権利が設定され、又は移転される場合

七の二 農地中間管理事業の推進に関する法律第十八条第七項の規定による公告があつた農用地利用配分計画の定めるところによつて賃借権又は使用貸借による権利が設定され、又は移転される場合

 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律(平成五年法律第七十二号)第九条第一項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第二条第三項第三号の権利が設定され、又は移転される場合

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成十九年法律第四十八号)第八条第一項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第五条第八項の権利が設定され、又は移転される場合

九の二 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成二十五年法律第八十一号)第十七条の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第五条第四項の権利が設定され、又は移転される場合

 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)による農事調停によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合

十一 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律によつて農地若しくは採草放牧地又はこれらに関する権利が収用され、又は使用される場合

十二 遺産の分割、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百六十八条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第九百五十八条の三の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合

十三 農地中間管理機構が、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農業経営基盤強化促進法第七条第一号に掲げる事業の実施によりこれらの権利を取得する場合

十四 農業協同組合法第十条第三項の信託の引受けの事業又は農業経営基盤強化促進法第七条第二号に掲げる事業(以下これらを「信託事業」という。)を行う農業協同組合又は農地中間管理機構が信託事業による信託の引受けにより所有権を取得する場合及び当該信託の終了によりその委託者又はその一般承継人が所有権を取得する場合

十四の二 農地中間管理機構が、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地中間管理事業(農地中間管理事業の推進に関する法律第二条第三項に規定する農地中間管理事業をいう。以下同じ。)の実施により農地中間管理権を取得する場合

十四の三 農地中間管理機構が引き受けた農地貸付信託(農地中間管理事業の推進に関する法律第二条第五項第二号に規定する農地貸付信託をいう。)の終了によりその委託者又はその一般承継人が所有権を取得する場合

十五 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下単に「指定都市」という。)が古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(昭和四十一年法律第一号)第十九条の規定に基づいてする同法第十一条第一項の規定による買入れによつて所有権を取得する場合

十六 その他農林水産省令で定める場合

 前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。ただし、民法第二百六十九条の二第一項の地上権又はこれと内容を同じくするその他の権利が設定され、又は移転されるとき、農業協同組合法第十条第二項に規定する事業を行う農業協同組合又は農業協同組合連合会が農地又は採草放牧地の所有者から同項の委託を受けることにより第一号に掲げる権利が取得されることとなるとき、同法第十一条の五十第一項第一号に掲げる場合において農業協同組合又は農業協同組合連合会が使用貸借による権利又は賃借権を取得するとき、並びに第一号、第二号、第四号及び第五号に掲げる場合において政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。

 所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を取得しようとする者又はその世帯員等の耕作又は養畜の事業に必要な機械の所有の状況、農作業に従事する者の数等からみて、これらの者がその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき農地及び採草放牧地の全てを効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うと認められない場合

 農地所有適格法人以外の法人が前号に掲げる権利を取得しようとする場合

 信託の引受けにより第一号に掲げる権利が取得される場合

 第一号に掲げる権利を取得しようとする者(農地所有適格法人を除く。)又はその世帯員等がその取得後において行う耕作又は養畜の事業に必要な農作業に常時従事すると認められない場合

 第一号に掲げる権利を取得しようとする者又はその世帯員等がその取得後において耕作の事業に供すべき農地の面積の合計及びその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき採草放牧地の面積の合計が、いずれも、北海道では二ヘクタール、都府県では五十アール(農業委員会が、農林水産省令で定める基準に従い、市町村の区域の全部又は一部についてこれらの面積の範囲内で別段の面積を定め、農林水産省令で定めるところにより、これを公示したときは、その面積)に達しない場合

 農地又は採草放牧地につき所有権以外の権原に基づいて耕作又は養畜の事業を行う者がその土地を貸し付け、又は質入れしようとする場合(当該事業を行う者又はその世帯員等の死亡又は第二条第二項各号に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため一時貸し付けようとする場合、当該事業を行う者がその土地をその世帯員等に貸し付けようとする場合、その土地を水田裏作(田において稲を通常栽培する期間以外の期間稲以外の作物を栽培することをいう。以下同じ。)の目的に供するため貸し付けようとする場合及び農地所有適格法人の常時従事者たる構成員がその土地をその法人に貸し付けようとする場合を除く。)

 第一号に掲げる権利を取得しようとする者又はその世帯員等がその取得後において行う耕作又は養畜の事業の内容並びにその農地又は採草放牧地の位置及び規模からみて、農地の集団化、農作業の効率化その他周辺の地域における農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合

 農業委員会は、農地又は採草放牧地について使用貸借による権利又は賃借権が設定される場合において、次に掲げる要件の全てを満たすときは、前項(第二号及び第四号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、第一項の許可をすることができる。

 これらの権利を取得しようとする者がその取得後においてその農地又は採草放牧地を適正に利用していないと認められる場合に使用貸借又は賃貸借の解除をする旨の条件が書面による契約において付されていること。

 これらの権利を取得しようとする者が地域の農業における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること。

 これらの権利を取得しようとする者が法人である場合にあつては、その法人の業務を執行する役員又は農林水産省令で定める使用人(次条第一項第三号において「業務執行役員等」という。)のうち、一人以上の者がその法人の行う耕作又は養畜の事業に常時従事すると認められること。

 農業委員会は、前項の規定により第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、その旨を市町村長に通知するものとする。この場合において、当該通知を受けた市町村長は、市町村の区域における農地又は採草放牧地の農業上の適正かつ総合的な利用を確保する見地から必要があると認めるときは、意見を述べることができる。

 第一項の許可は、条件をつけてすることができる。

 第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。

受託者の辞任について

信託法上、受託者は、委託者及び受益者の同意を得て、辞任することができるとなっております。

これを、例えば、受託者のみで辞任ができるようにするには、信託契約書に別段の定めが必要になります。

細かい点ではありますが、契約書を作成するうえでは、しっかり検討していかなければならない点だと思います。

(受託者の辞任)
第五十七条 受託者は、委託者及び受益者の同意を得て、辞任することができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
2 受託者は、やむを得ない事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
3 受託者は、前項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。
4 第二項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
5 第二項の規定による辞任の許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
6 委託者が現に存しない場合には、第一項本文の規定は、適用しない。

日経新聞プラス1 子どもに聞かれて困る金融用語第3位に家族信託

令和3年9月11日の日本経済新聞プラス1にて、約1000人の読者アンケートによる子どもに聞かれて困る金融用語の第三位に家族信託が選ばれておりました。

ちなみに1位はFX、2位は暗号資産、4位は、マイナス金利、5位はフィンテックなど、どれも聞いたことがあるけれども、しっかり説明ができるかと言われたら微妙な言葉が並んでおります。

そんな言葉に中の堂々3位に家族信託が選ばれているのに、驚きました。

それだけ、一般的な言葉になりつつあるのかもしれません。

私どもの事務所でも、家族信託に関するご相談は増えてきております。

益々増えていく様相かと思います。

生命保険や損害保険などと同様、家族信託・民事信託を導入しておくことで安心が得られるという代物です。

家族信託をしたとしても、その報酬を支払いながらも、実際にその役割を果たさない場合、例えば、認知症になる前に、死亡して相続が発生するケースなどもございます。

相続対策と同時に、認知症対策を取られたら完璧です。認知症対策をしておくことで、いざというときの備えとなります。

今、ご相談に来られる方々は、その備えをしっかりしておきたいと思われる方です。

お気軽にご相談くださいませ。

日経新聞夕刊に家族信託に関する記事掲載されてました!

日経新聞によりますと、認知症を患う人の所有する住宅が急増する見通しとのことです。2040年に現状より約27%増の280万戸になる。

このことにより、何が困るか?ということをご存じない方が多いように思います。

認知症になると自宅の売却が難しくなり、介護費用の捻出に資産を有効活用できない恐れがあるのです。

自宅が空き家になることで、家の管理費(固定資産税や修繕費など)と介護費の二重の負担が現役世代にかかる恐れがあります。

全国銀行協会は、今年2月に、成年後見制度を利用できない場合など、一定条件のもと、親族などが代理で引き出すことを限定的に容認する考え方を示しました。(参照 優司法書士法人公式ブログ令和3年2月22日記事

一方、自宅など不動産では、こうした対応は見られない。

本人の意思が必要になるのです。

こうした、認知症になるリスクを回避するために、この記事にも記載があるように、家族信託・民事信託での対策を取ることが典型例となります。

信託契約内容によっては、認知症になった後、介護施設に入るときに子の判断で親の自宅を売ることができるようになります。

私どもの事務所で関与させていただく、家族信託・民事信託では、ほとんどのケースが、このような設計をしております。その内容に特化した実家処分安心信託39プランを用意しております。

このプランでは、不動産の価格にかかわらず、定額料金での信託組成ができますので、安心でご好評いただいております。

どうぞ、お気軽にご相談ください。

民事信託士協会 京都支部総会に参加

家族信託に知名度、ニーズが以前にも増して明らかに増加していることを肌で感じております。

ご相談、問い合わせ、ご依頼とも、本サイトを開設以来、一番増えていると思います。

そんな中、京都では、京都銀行に引き続き、京都信用金庫でも信託口座開設が可能となりました

そのあたりの調整当方所属している民事信託士協会京都支部方々なさっていらっしゃいました

そんな民事信託士協会京都支部の総会が先日ありましたので、オンラインにて参加させて頂きました。

そこでも、京都信用金庫・京都銀行の最新の取り扱いの状況であったり、考え方、協会としての考え方など情報をいただけました。

その中で、備忘録に記録したのが、京銀は一般社団法人名義の信託口座開設可であるのに対して、京信は開設不可であるという点、京銀は、受託者が亡くなったら、口座を一旦閉鎖する点です。

知らない生の情報を得たれるのは、すごく、良い機会です。逆に、こういう情報を得られるので、お客様にもしっかり最新の情報をお届けできると思います。

民事信託士協会京都支部の幹部の皆様方に感謝です。

金融機関の信託口座開設事前確認

とある金融機関と信託口座作成についての打ち合わせをしている中で、契約書案の事前チェックの作業がありますが、いくつか細かい論点のご指摘をいただきました。今後の備忘録に情報を紹介しておきます。

ちなみに、通常、信託口口座開設 事前確認依頼書を提出してから10営業日はかかるのが通常とのことでした。

①受託者の同意がない限り、受益権の譲渡質入れその他担保設定等の処分はできない旨規定していたところ、受託者の 同意があっても処分ができない形にする必要がある旨指摘がありました。

②受託者の義務を善良なる管理者の注意義務とする規定を設けていたのですが、合わせて、その義務を怠らない限り責任を負わない旨規定していたところ、信託法第40条の受託者の損失てん補責任は、信託法92条で制限できない行為なので、善管注意義務より軽い義務違反があっても損失てん補責任を負うことから、善管注意義務違反以外の責任免除の規定の削除の要請がありました。

③第2受託者の指定なしでも信託口口座の作成はできる。

その際、奥様とかお子様がいることが確認できればよいとのことです。

参照条文

(受託者の損失てん補責任等)第四十条

 受託者がその任務を怠ったことによって次の各号に掲げる場合に該当するに至ったときは、受益者は、当該受託者に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。ただし、第二号に定める措置にあっては、原状の回復が著しく困難であるとき、原状の回復をするのに過分の費用を要するとき、その他受託者に原状の回復をさせることを不適当とする特別の事情があるときは、この限りでない。

 信託財産に損失が生じた場合 当該損失のてん補

 信託財産に変更が生じた場合 原状の回復

 受託者が第二十八条の規定に違反して信託事務の処理を第三者に委託した場合において、信託財産に損失又は変更を生じたときは、受託者は、第三者に委託をしなかったとしても損失又は変更が生じたことを証明しなければ、前項の責任を免れることができない。

 受託者が第三十条、第三十一条第一項及び第二項又は第三十二条第一項及び第二項の規定に違反する行為をした場合には、受託者は、当該行為によって受託者又はその利害関係人が得た利益の額と同額の損失を信託財産に生じさせたものと推定する。

 受託者が第三十四条の規定に違反して信託財産に属する財産を管理した場合において、信託財産に損失又は変更を生じたときは、受託者は、同条の規定に従い分別して管理をしたとしても損失又は変更が生じたことを証明しなければ、第一項の責任を免れることができない。

(信託行為の定めによる受益者の権利行使の制限の禁止)第九十二条 

受益者による次に掲げる権利の行使は、信託行為の定めにより制限することができない。

 第四十条の規定による損失のてん補又は原状の回復の請求権

京都信用金庫が民事信託サービス開始

京都信用金庫様のプレスリリースによりますと、民事信託士協会との提携により、民事信託サービスを開始することになりました。

これにて、京都銀行に引き続き、京都の金融機関で信託口座開設が身近にできるようになり、家族信託・民事信託の普及が普及することが予想されます。

当事務所で、家族信託・民事信託を取り組みだした頃から、だいぶ時代は進んできております。

信託口座の選択肢が少なくても、京都で3つあることは、ありがたい話です。

また、最近、家族信託・民事信託に関するご相談依頼も増えてきております。

ますます、最新情報を取り入れて自己研鑽に努めていきたいと存じます。

民事信託士協会京都支部の研修を受講しました!

先日の日曜日、オンラインにて民事信託士協会京都支部の研修を受講いたしました。

口座開設するのに、3親等内の親族でないとダメな金融機関もあったり、受託者が一般社団法人ではだめな証券会社、受益者連続型信託では口座開設にみとめられていなかったりしているという具体的なお話が盛りだくさんの関東方面の実績十分の方の講義でしたので、実務的で面白い研修でした。最新情報を習得するには、このような研修を受講することは必須だと思います。

そういう意味で、資格内資格のようで、ちょっと違和感はあるのですが、民事信託士や家族信託専門士である司法書士にご相談されるほうが客観的に見ても安心だと思います。ちなみに当事務所司法書士は、民事信託士も家族信託専門士のいずれの資格も取得しております。

まだまだ、同業者の中にも、実際に家族信託・民事信託の組成業務をされていない方も多くいらっしゃいました。そういう、近隣地域の状況も把握できましたし、金融機関や証券会社の対応の変化も、実際経験された方のお話は説得力があり、参考になりました。

また、債務の信託はできないとされていて、実務上、債権者との債務引受契約を必要としていること、免責的債務引き受けでは債務控除できず、重畳的債務引受でないと債務控除できないという税理士の存在、特定委託者とみなされる可能性により、贈与、遺贈とみられてしまう可能性、信託事務代行者の記載があると基本的には口座改正がNGとなること、信託口口座開設には、全銀協、日弁連ガイドラインが活用できることなど、この研修を受講してでないと再確認や取得できなかった情報も多くあったので、よかったです。民事信託士協会自体が金融機関と業務提携を図り、民事信託士が派遣される仕組みも実際に稼働しているようでよかったです。

当事務所で、5年以上前から取り組みだしたときから、家族信託・民事信託の知名度や実例は何十倍にも膨れ上がっております。当事務所でも、実例はかなり積ませていただいております。

家族信託・民事信託は、これから益々増加することが予想されます。そして、当初から思っていた通り、必要な制度であると考えております。これからも、最新情報を仕入れるためへの自己投資は惜しまずして、ご依頼者様により良いサービスを提供できるように精進していきたいと思います。

講師の先生はもちろん、企画していただき、主催していただいた、京都支部の幹部の方々に感謝します。

家族信託・民事信託と任意後見の併用

信託契約により、財産の管理については委託者(財産を託す人)が認知症になり、判断能力を失った後も、受託者(財産を託される人)が委託者に代わって管理運用処分もできる形に設計することはできます。しかし、委託者の代理人となるわけではないので、例えば委託者の代わりに介護施設に入所する契約を結ぶといったような身上監護はできません。認知症、知的障がい、精神障がいなどの理由で判断能力が不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産管理や、介護などのサービスや施設への入所に関する契約、遺産分割の協議など行うことが難しい場合があります。

また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力が不十分な方々を保護し、代理人として家族信託・民事信託ではできない本人の身上監護を行い支援するのが成年後見制度です。

この制度を利用して医療・介護・リハビリ・介護施設の入退所・住居の確保など本人の身の周りの手続きもすることができるのです。

本人の代わりに財産管理はもちろん、介護施設に入所する契約など本人の代理人を自分の意思で予め定めておく任意後見制度を併用しておくことも一つの選択肢となります。

また、民事信託・家族信託は財産を託せるような信頼のおける家族がいない場合には選択することができません。

信託制度は、後見人のように法律専門家が受託者となることができないのです。その時は、任意後見制度を使って法律専門家を任意後見人としてあらかじめ定め、ご自身が判断能力を失った後のことを決めておくことも生前対策として重要な選択肢となります。

民事信託・家族信託と任意後見は同じような制度ですがカバーできる範囲・効力発生時期・必要経費など異なります。

主要な財産については、家族信託・民事信託で財産管理の対策をし、それ以外の財産と身上監護は任意後見で備えることで、万全な対策となり得ると思います。

さらに、民事信託・家族信託と任意後見を併用するメリットとして、民事信託・家族信託における財産管理を任された人(受託者)の財産管理状況を、財産を託した人(委託者)であり、信託により利益を享受する人(受益者)である人が認知症により判断能力を失った後も、第三者である後見人が関与していくことで、受託者を監視し、しっかり信託の目的が実現できる方向にもっていけるということもあります。

実際、それぞれのご家族で選択する手続きも異なります。現状を把握して、それぞれの制度に精通する法律専門家に相談して手続きをしていくことが失敗しない方法だと思います。