9月にも、触れました、家族信託を利用することでのデメリットが生じる場合について、記載していこうと思います。それは、通常と取扱いが違う点にデメリットが生じる可能性が生まれてきます。
とはいっても、その違いを把握して、それを前提の信託を組成することで、そのデメリットを回避できることもございます。
だからこそ、信託業務は、ある程度、経験値のある専門家でないとタッチしにくいということもある業務なんだと思います。
税金についての取り扱いについては、常に気を付けないといけません。
1⃣例えば、信託と不動産所得の損益計算ができないとかは、基本中の基本となります。
なので、信託不動産とする収益物件と信託をしていない収益不動産がある場合、今後大規模な修繕予定などがある、あるいは、テナントの退去予定があるなど、損失を生じる見込みがあるのであれば、信託契約前に慎重に検討することが必要です。
具体的には、損失がでるタイミングが済んでから、信託組成をするなどの検討が必要です。
2⃣※相続空き家3000万円控除の特例の適用不可ということも注意を要する点となります。
空き家特例が適用できる昭和56年5月31日以前に建築された一戸建ての場合などには、信託するか否か慎重に検討することも必要です。
※相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または、被相続人居住用家屋の敷地等を平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除することができるという特例。令和6年1月1日以後に行う譲渡で被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は、2000万円までとなります。
3⃣受益者連続型の信託で、死亡日の翌日に信託が終了するというような信託契約書の場合の信託財産引継を原因とする所有権移転で受託者以外の法定相続人に所有権移転登記をする際などに、不動産取得税が課せられる可能性がある点も注意が必要になります。
今まで、そのようなお話を聴いていなかったのですが、先般、信託終了に基づく信託財産引継にて所有権移転登記した当事務所クライアント様宛にも、府税事務所より、お尋ねが届いたようです。
相続であるか、信託契約に基づく移転か府税事務所も確認して課税するか否かを決めていくスタンスなんだと思います。
不動産取得税の通知があったとしても、非課税に関する意見書を提出できるように理論武装して臨む必要がございますし、これから締結する信託契約書であれば、その辺りも考慮した契約文案を作成していかないと危険な情勢になっております。
信託に限ったことではございませんが、勉強し続けないとできない仕事でございます。勉強している専門家へのご相談をお勧め致します。