【登場人物】 お父様(75歳)お母様(70歳)長女(48歳)次女(46歳)
【内容】
遺言書作成、任意代理のご相談から家族信託の必要性を感じられての案件です。
お父様も体調が優れない状態、お母様は認知症が進んできている。
この状態の中で、財産管理と資産承継に不安を感じてのご相談でした。
【解決方法】
今後、お母様が年老いた時、介護をされるのは長女さんということを、お父様と姉妹で話し合い、お母様の財産の管理を長女さんがしていき、介護費用もお母様の財産から長女さんが払っていける体制をとっていきたいとのことでした。
成年後見という形で、全ての財産の管理を長女さんに託すのには、抵抗があるようでして、一定の財産について、遺言同様で、将来引き継ぐであろう資産を金融機関毎で長女と次女に託すという方法での家族信託となりました。
お母様にとって、娘さんに全幅の信頼がない様子であったので、念のため、信託監督人としてお父様を定めることとさせて頂きました。
【効果】
もし、この契約をしない場合のリスクは、お母様の認知症が進み判断能力が無くなってしまったとしたら、介護費用を捻出しようと思った時には、成年後見人を選任し手続きをすすめることになるのですが、お母様がお亡くなりになられるまで財産を管理し、毎年家庭裁判所に報告を提出する煩雑な管理をしなければならなくなりますし、専門家が後見人もしくは後見監督人に選任された場合には、お亡くなりになられるまで、継続的に後見人報酬もしくは監督人報酬が必要になることから費用負担の増大化のリスクもございます。
この家族信託契約により、契約締結時から一定の財産をお母様の代わりに管理し、もし、お母様の判断能力が喪失したとしても、長女が管理するお母様の財産の中から介護費用を捻出することなどの運用・管理・処分ができるようになることで、お母様の認知症が進んでいく場合のリスクを取り除きました。費用負担も信託組成時単発の費用負担だけで済みますので、後見報酬の長生きによる増大のリスクも取り除くことが出来ました。
それにより、お母様が判断能力を無くしてから長生きをされたとしても、お子様である姉妹に困ることは生じることはないことから、お母様も姉妹様の不安を無くし、安心に変えることが出来ました。
家族信託による認知症対策の他、遺言的効果の帰属権利者の設定により、生前での遺産分割を実現した格好となりました。お母様がしっかりしているうちから、基本的なお母様の財産の管理運用は長女の代に移り、将来の紛争を積極的になくす手続きを取ったことにより、非常に喜んでいただけました。