【登場人物】 お母様(86歳)長男(56歳)
【内容】
空き家になったご実家を、お母様が弱ってきているので、お母様の意向なしに息子さんの名義にした上で、売却できるようにしておきたいという趣旨で組成した家族信託から1年後、その売却を行いました。
【解決方法】
長男とお母様からの信託移転した受託者としての長男が売主となって売買契約を締結しました。
売買を原因として通常の長男持分移転登記と連件にて売買同日信託財産処分を原因として長男持分移転及び信託抹消登記を致しました。
不動産売却によっても、信託契約終了ではない信託契約であるため、売却して手にした本来お母様が取得する分の売買代金は、受託者として、長男の財産とは分別管理してもらうことになりました。
【効果】
まさに、当事務所で、お母様の判断能力が無くなった段階で、長男単独で売却できる状態にしてほしいとの想いを信託により実現し、想定通り、スムーズに売却することが出来ましたので、長男さんも大変喜んで頂きました。
信託という方法を選択肢として提案がなければ、贈与税と不動産取得税だけでも100万円以上かかっていた案件だったところ、信託による名義変更にしたところ、お客様のご負担も軽減でき、実態にあった管理も実現できたので、良かったです。相続時精算課税制度を使う場合でも、不動産取得税はかかりますし、登録免許税も高い税率でかかります。しかも、売却する場合にも、居住用財産の3000万特別控除の特例を使えるので、売却した際の手取り金額も贈与にて名義変更した場合に比べて、数百万円大きくなることになりました。